ダンスとコミュニティ・サイト

ダンス・メディアと電子メディアの接点が強くなってきたが、最近脚光を浴びてきているのはStageboxだ。*1この12月には舞台映像の株式会社ビデオもサイトをリニューアルした。*2少し前にダンス・バレエに関する総合プロダクションでもあるバウンド・プロダクションがBallet Mobile*3を立ち上げたときは話題をまいた。日本のダンサーの大多数が携帯ユーザーであることを視野に入れながらモバイル端末によるサービス提供を目指した事業であるためだ。JCDN*4はチケット販売以外に映像配信などを行っている。
 ダンス産業はコンテンツ産業ともいえるわけでファンを対象にしたSNSも増えてきた。すでにMixi*5を代表とする国内のSNSではファン用のコミュニティが上がったり、ダンスカンパニーがプロジェクト運営用のコミュニティを上げることを行っている。舞踏というジャンルではこのジャンルそのものを題材に海外でSNSが立ち上がって舞踏関係者の間で話題をまいている*6昨今だ。ダンスからややそれるが日本には古くからタレントビジネス、キャラクタービジネスを得意としている”宝塚”がある。コンテンツの中身の充実のみならず、一大文化資本として経営、運営のノウハウを持っているグループだ。パフォーミングアーツの中では宝塚がファンとサイトの連動を活用して活躍を見せている。”歌舞伎”でも”商業演劇”や”ミュージカル”でもなく、”宝塚”に対して複数のSNSが立ち上がりそれぞれが盛り上がりを見せているのは興味深い現象だ。*7
 意外に思えるのが日本舞踊をはじめとする伝統芸能のサイトがここ近年充実してきていることである。日本舞踊ではポータルサイトが生まれたり*8、舞台映像の配給会社による動画映像のサイト*9が生まれるなど次第に活発になってきている。
 2000年代の終わりもあとわずか、ダンスとデジタルメディアの接点を狙ったサービスは多様さを増してきている。
 最近では公演でもしっかりしたBlogが登場するようになり、外来の来日公演のツアーBlogも多くなった。近い舞台の中では深川秀夫の名古屋市芸術特賞記念&橘秋子賞特別賞記念公演にあたる「深川秀夫の世界」のBlogはしっかりしたものだ。*10このような情勢を踏まえてコミュニティの運営をしていくことも求められている。


 2008年に発生した世界同時不況により世界中のパフォーミングアーツに関するサイトが助成金などの面で運営が難しくなってきている。事実、私は海外にいる情報サイト運営者数人から寄付を希望するメッセージをいくつか受け取っている。その一方でパフォーミングアーツと電子メディアの接点は多極化を向かえてきているといえる。ジャンルによっては動員数が少なくなったといわれる不況の中とはいえ、ライブ&エンタメ市場に対する人気は根強い。ダンスにおいてもその運営手法や展開が問われる時期だ。

(2008−01−02)