Flower

 内田香のRoussewaltzは5周年を迎えた。記念公演ではこれまで上演してきた代表作と新作を披露した。内田作品は「なみだ」から男性ダンサーが出演しだすわけだが、今回は久々に女性ダンサーのみの公演にもなった。
 初期の内田作品は在りし日の金井芙三枝舞踊団の飯塚真穂や吉原友紀・阿部由紀子といった面々がそのアンサンブルを支えてきた。「彼女のredな味」は金井舞踊団時代のカラーも色濃く残している作品である。飯塚、吉原や阿部といった金井門下のそれぞれに受賞暦がある名ダンサーたちが担ってきたパートに現代の若手ダンサーたちが挑んだ。Emilyや伊東由里、寺坂薫らは作品を立派に成立させていた。
 フランス帰国第一作にあたる作品「SPUR」から良作「skip&step」、近作「PICNIC」にいたるまでが現在の内田作品の作風への足取りである。この時代の女性ダンサーの中では所夏海と渕沢寛子がそれぞれに活躍をしてきた。渕沢は「Rose Rose」から約2年ぶりにラインアップに復帰して来年頭にはあの(三宅)冴子とともに踊ることになる。所は最も旬な存在であり目が離せない。コンクールでの評価も名実ともに確立し新しい地平に挑んでいる。
 伊東由里、原裕子、Emily、小俣菜穂、寺坂薫といった実質的に第三世代のメンバーを焦点をあて大きく起用しながらそのこれからを感じさせる仕上がりとなった。

 今年の夏に内田はアジアで活躍をしてきた。さらに今年は作品「Maquillage」を披露し小スペースで「PICNIC」、「Presents!」より上の地平を示している。(秋の平山素子の作品を見れていないが2008年度のモダン・コンテンポラリーの新鋭・中堅作家のベストといえるような作品だ。新国立劇場コンテンポラリーダンスプラネットで上演していてもおかしくない水準の作品を小ペースで上演したのだ・・)才能のさらなる開花を社会に広く示すのはこれからとなるが、「Maquillage」、「Flower」の上に生まれてくる新しい展開を考えるとこれから一段と気になるグループだ。
 今日のチケットは完売ということで、705 Moving Co.と共に人気の高さを示している。

Roussewaltz「Flower」

「flowers」
「door」
「冷めないうちに召し上がれ」
「彼女のredな味」
「SPUR」
「na mi da」
(セシオン杉並)
演出・振付・構成:内田香
出演:内田香、渕沢寛子、所夏海、原裕子、Emily、小俣菜穂、寺坂薫、佐藤宏美、中嶋瞳、伊東由里、服部朱美、小寺美紀、五十嵐貴子、石脇愛弓、佐藤悦子