あきたの結果から・・:データで読むコンクール

 今年もあきたのコンクールが終了した。早速、結果を読んでみよう。1位は富士奈津子だが安定した演技と完成度の高い作風から導かれた結果ということが出来るだろう。さらなる芸術性と作品の普遍性が課題でありさらに飛躍を目指して欲しいところだ。2位は所夏海、3位は蛯子奈緒美のようだ。この二人は現在のモダン・コンテンポラリーのダンサーを大きく担う踊り手たちだ。新世代台頭の今日でありベテランと新人のそれぞれのベクトルがコンクールで交差しているわけだが、所は新鋭作家の女性ダンサーとしては最も旬な存在である。蛯子奈緒美はジュニア時代からコンクールを制覇してきた逸材だけありここ数年の活躍に期待がかかる。所と蛯子は内田香の作品で数回共に踊ったことがある。ほっそりとした長身の女性ダンサーたちが支えてきた内田作品の数あるアンサンブルの中でもこの二人が出ていたときは水準が高い表現だったことも見逃せない。
 東京圏のコンクールで活躍しているアーティストの中では斉藤友美恵と伊東由里は大きな伸びを見せている踊り手たちであり目が離せない存在だ。玉田光子は新作になったようだが独特な才能でありその傾向が気になっている。東北で活動をしているダンサーたちであまり東京に出てこないアーティストの作品は映像がないことからこのデータからは判読できない。しかし星利沙は作品が記憶に残っている存在だ。これからの活動が楽しみだ。今年の選抜新人に出ていた関西出身の中路久美子も強く印象に残っているが、首都圏のみではなく各地域から出てきている舞踊家にも優れた才能は多い。
 今回の入賞・入選者の中で気になっているのは表現力と技術がある竹中優花*1である。”予選を突破しただけで凄い”といわれる東京新聞の現代舞踊1部も予選を突破してみせた。いわゆる至芸をみせることができる才能であり、ごく自然に目に留まるものがある存在だ。社会的評価をどこかで確立してほしい知る人ぞ知る名ダンサーだ。

結果:
http://www.akicon.net/akicon27/akicon27-senior.html