町屋

コレオグラファーズY 第一回 ダンスコンサート」
 東京は町屋で若手舞踊家振付家の作品を集めた公演が行われた。モダンからコンテンポラリーまで様々なアーティストをピックアップしていることが特色といえる。
 今回上演された作品の中では、ワダミユキ「湖中の円庭」に特に注目したい。肉体が力強く鼓動を感じさせながらそのシャープに形象を切りきしていく。踊り手は水の中を感じさせるようなゆれるイメージや照明が打ちだす力強いコントラストのある情景の中で踊っていく。精神性の高い作品である。
 演出を駆使しながら活躍をした芸術家も多かった。畦地真奈加「色は匂へど散りぬるを」は”いろは歌”とテーマにした作品。木魚を手にした亜耶可とエネルギッシュな真奈加が大きく踊る。白塗りにしてあまり踊らず二人の表情を大切にした作品だ。フジモトヨシタカの音楽がテーマとなっている歌の神秘的な側面を切りだしていく。踊りと音楽の間に課題が残されたのも事実だ。キューバでの活動などを経験している板垣あすかは「やさしい森」でスチール製の椅子とともに踊った。全体として構成をつめることでコンセプトの自然や世代を超えたものを表現できると良いが表情豊かなアーティストである。さらに立花あさみ「Kuu-空 SceneII」では雄大な時空が描かれた。作家はさらに表現力が増してきた。中台や照明を使いながら舞台空間を立体的にみせながら場面を展開する。ギターの伴奏は冒頭は効果的だったのだが、中盤の叙情的なシーンなどではきめ細やかにクラシックでも良かったのではないか。
 Benny Moss 垣内友香里「ONE <ある>」はギプスをつけた踊り手や精神的にいきづまっているような男性を使うなど肉体の多様さを感じさせた作品だ。荒木志水など注目をあつめるダンサーたちも出演している。過剰な暴力性に迫った作品なのだが、テーマを鋭く切り出すためには即興のように立ち上がる踊り手の表情や動かないことから生まれてくる存在感を哲学的に立ち上げる必要がある。構成や振付に課題を残すがその意図が機能している・していないに関わらずコレオグラフィーに対しては意識的に考えている才能である。
 何度も回数を重ねることで公演全体の企画から次世代の振付やダンスに対する提案が発信できてくると良いように感じた。
ムーブ町屋
主催 ダンスカフェ 株式会社シービーシーメソッド