AfterScorpio、Maquillage

 及川廣信が主宰するによるAfter Scorpioの第1回目のArt Conferenceが行われ私も出席した。研究者、ダンサー、批評家、アーティストが集まり熱心な討議を繰り広げた*1
After Scorpio
ラカンルーセルデュシャンを日本に紹介をした北川研二氏のプレゼンテーションと質疑応答が行われた。さらに新しい時代をもとめて様々な方向から議論が展開された。


 その後、六本木に移動。


 六本木にあるSuper Deluxeでは内田香のソロダンスパフォーマンスが行われた。劇場以外にも様々な場所でショーケースやパフォーマンスを展開している彼らだが、いわゆる大劇場で上演しているような彼らの作風と一味違う作品をクラブで展開している。昨年秋の"dear..."に続き、世田パブのような劇場で上演しても充分な優れたクリエーションを小スペースで堪能することができた。
 初期の作風やカンパニー結成直後のスタイルを経て、”skip&step”や”Presents!”の第二部辺り、”Espresso”から内田は作家としてさらに新しい地平を感じさせて来ているが、このところのクラブでの充実した作品たちもこのアーティストにとって重要な局面となるはずだ。おそらく同年代のモダン=コンテンポラリーのダンサー&コレオグラファーの中で小品から長時間の作品まで一定の水準をクリアした充実した作品を上演し続けているのはこの内田のグループである。なんらかの企画の一環である・ないに関わらず、大劇場から小スペースまできちんとした作品を上演している。すでに大きな評価を得ている同年代のアーティストたちが特に長時間の作品となると水準をクリアするまでそれぞれ苦闘を重ねているが、どんな状態でも常に一定の水準をもった最先端のテンションの高い作品を送り出そうとしている内田の姿勢と研鑽には頭が下がるし、シーンをリードしている才能の1人としての志の高さを感じるのは事実だ。
 戦後の成熟をしつつある舞踊界の中で20世紀舞踊の会の書き手達は続いて到来するポストモダンの前哨戦のようなシーンの中でバレエ・デゥ・ブルゥ(高橋彪)や若松=土方がいた津田近代舞踊派に強い関心を示しているが、コンテンポラリーダンスや外来が一定の飽和状態をむかえつつある今日の舞踊界で不遇であっても次世代を見据えながら水準の高いステージに挑戦をしている才能たちはいる。今生みだされてきている様々な要素がダンスやアートの中の様々なジャンル・枠組みを超えてさらなる地平として近未来にブレイクスルーする瞬間が楽しみだ。
 若手ダンサーたちも柔軟にその作風を吸収しだしておりコンクールでそれぞれ活躍をしている。昨年話題をまいた所夏海の良作”Black Dahlia”、今年の田中恵美理や伊東由里の作品たちはその代表的な例である。
http://masuyama.kk-video.co.jp/concours/yokohama2008sousaku/index.html



内田香ソロダンスパフォーマンス“Maquillage”
(Super Deluxe)