NBAコンクール、新人シリーズ

 2007年の日本経済新聞の第一面は確か「沈む国のYen」とか書いてあったと思う。失われた10年の最中だった10年前でもここまでシニカルなタイトルが新年の朝刊に出ていなかったともう。同年代でも政財界で活動をする人たちは大変だろうなと思いながらも、新年早々バレエコンクールの取材に入る。この不況の中でも舞踊評を書き続ける意義はあるのだ。


NBA全国バレエコンクール 予選

時間の関係上、中学生予選審査第9回審査の後半と小学生予選審査第9回審査の前半を見た。中学生の部では「パキータ エトワールのVa」を踊った塩村未帆の表現力が印象的だった。小学生の部では木村彩乃「ジゼル 1幕より」の演技も優れていたように感じた。ごく一部しか見れなかったのだが年始の劇場はコンクールならではの緊張感に溢れていた。

メルパルクホールTOKYO)


ダンスがみたい!「新人シリーズ6」 Aグループ

yeux manie-ne(ma) は諸事情で遅刻してみることができなかった。川上暁子「苛性ソーダ」では光を浴びながらダンサーが床の上で身体をしならせたり、反動を活かしてリバンドさせたりしながら踊っていく。普段はKappa-teや武元賀寿子のグループとともに活動をしている作家だが今回は小スペースを活かしながら小品を踊った。作品のコンセプトがより明確に立ち上がると良いだろう。坂本典弘「spot」では男性舞踊手が学生時代の授業風景を語るおしゃべりや詩の朗読を背景に身を走らせていく。特にこれといったしかけもない。神村恵はミニマムな構成の間合いに美意識を感じさせる作家だが、坂本の作品は特にひねりもしないオーソドックスと言えばオーソドックス、パフォーマティヴといえばパフォーマティヴな内容だ。男性の内面的な美意識が描かれていくのだが、乱入をしてきた女性に頬をひっぱたかれて男は夢から覚め他者としての女性に出会うことになる。モチーフの面白さがある作家だけあり明確にディテールをつめることが必要だ。

(神楽坂die pratze)