白狐 the White Fox

 今年の日本の上演芸術の中で極めて意義深い出来事を上げろといわれたら、私は坪内逍遥の「新曲『浦島』」の全幕初演(http://d.hatena.ne.jp/yukihikoyoshida/20070913)と長年存在自体が幻とされてきた岡倉天心によるオペラ作品「白狐」(=正確にはKakuzo Okakura,"White Fox"というタイトルで英文の作品である)の全幕初演の2つを選ぶだろう。抽選で2500人以上応募があったというのだが、幸運が重なって初演に立ち会うことが出来た。久々にオペラを見た。
 初演の会場は岡倉に縁が深い旧東京音楽学校=現・東京芸大の奏楽堂だ。音楽研究・批評でも大きな業績を残した牛山充が教えていたこともある学校である。そんなこともあり思い出深い一日となった。例年より暖かいため、まだ残っている銀杏の紅葉がきれいな夜だった。


オペラ公演 岡倉天心作 オペラ「白狐」―よみがえる日本のこころ

媒体にてレビュー

(ソワレ 台東区立旧東京音楽学校奏楽堂)
台本 岡倉天心、作曲 戸口純、演出 大石泰
英語上演/日本語字幕付