洋舞の日

8月2日は洋舞(82)の日ということで舞踊批評家の記念日が年間に1日ぐらいあってもいいのではと知人と話していたのだが、いろいろ重なってしまいお祝いの飲みは実現できなかった。
今日の舞台は志賀育恵さん http://www.ikue-garden.net/ の年内最後の国内の舞台ということもあり関係者が結構つめかけていた。志賀さんはこれからオーストラリアに留学して来年戻ってくる。バレエの会だったが様々な方面のモダン=コンテンポラリーの若手作家たちの姿を数多く見た。


Sym's BALLET公演「ロミオ&ジュリエット」



 「ロミオとジュリエット」はダンスのみならず世間一般に良く知られている古典だ。Sym‘sBalletが創作として上演した。この公演は志賀育恵が文化庁在外研修出発前の最後のステージになるということもあり関係者の注目を集めた。
「ロミオ&ジュリエット」(構成・演出・振付:畠山 慎一)は古典的な作品かと思いきや予想を裏切る現代的な作品だ。
 闇の中からローレンス神父が登場する。やがて良く知られている物語がはじまる。広場でキャビュレット家とモンタギュー家が争っている。争いを繰り広げる両家の中でロミオ(マイレン・トレウバエフ)とジュリエット(志賀)が出会う。踊り手の中でロミオとともに軽快に身体性を駆使して踊るヴンヴェーリオを演じた鈴木裕、踊り手として成熟してきた中川賢は見事だ。マイレンの演技と技術、志賀の同じく見事な演技が若い男女の恋を描きだす。薬を飲んで眠っている志賀をみて悲しそうに踊った後、死の床につくマイレン、倒れている恋人の姿を見て座り込み絶望をする志賀、ともに卓越した演技だ。大きなセットを使いながら古典を現代に立体的に翻案してみせた。特に中盤以後の装置を使いながら空間性を試行していく作風は興味深い。動きの質感としては様々なジャンルの踊り手たちを使っているため、ショーダンスやリリーステクニックなど彼らの間でよく知られている技法とともに展開しているようにも見える。群舞構成も新しい世代ならではの感受性を感じさせる下りもありさらに練り上げることが今後の活動の鍵となるはずだ。
 前半の第一部では古典も含めて小品が3作品上演された。「The color of recollection」(演出・振付:廣田あゆ子 based on Val’s style )はセンチメンタルな音楽とともに灰色の女達と青い女が舞台いっぱいに踊る創作作品。テーマの陰影がさらに強く、シャープに出てくると良いだろう。精神性の深みへと迫る現代舞踊の創作作品と比べてみたときに、バレエならではの技法や表現に対する言及がいろこく出てくると良い。青い廣田のムーブメントは心地よい。続く「パキータよりパ・ド・トロワ」 は良く知られた作品。男性ダンサーが2人の女性をリードする。リードする男の素敵な横顔は見ていて心地が良い。「硝子の月」 (振付:畠山慎一)は 背景に月が映し出されている中で白い踊り手たちが舞台いっぱいに広がる。作品としてはさらなる練度が必要だが、廣田同様に小品でも濃密な独自のフォルムが動きに出てくると良い。
 畠山は自身の作風をさらに構築することが重要といえる。この年代ならではの独自の感受性を明確に形にしていくことが必要だ。

(なかのゼロ 大ホール http://maps.live.com/default.aspx?v=2&cp=35.704278~139.671829&style=h&lvl=18&tilt=-90&dir=0&alt=-1000&encType=1 )


体調はやはり芳しくない。やはり湿気と寒さは苦手なようだ。空気の中の水分量が結構あると汗もかくし気持ちよくない。空気というよりはものすごく薄めた水蒸気の中を歩いている気分にもなる。