ノマド’s

 池宮信夫という人がかつていた。20世紀舞踊の会のメンバーで、山野博大、浦和眞、池宮信夫、市川雅がその代表的なメンバーだった。市川のみが批評集が後に編集出版されているが、彼らの50年代、60年代の原稿は戦後の若者たちを代表するものの1つだった。最近、昔の評を読み返していて、これ面白いな、とか思って評者の名前を見ていると池宮の原稿だったりすることが多かった。その時代は批評家として活動をしていたが後に振付家パフォーマーのようになった。いい批評が多いので、故人の業績を偲ぶために過去の中で抜粋した評を書籍が駄目でももっと低予算で出来るCD−ROMにでもまとめればいいのにと思ったりもしている。

 その時代のことを調べていると結構面白くて、草月ホールで行われた様々なパフォーマンス、ジョン・ケージの影響や戦後のパフォーマンスの影響をもろにうけたもの、や椹木野衣が書いているダダカンやゼロ次元は結構面白い。また草の根レベルで人間関係が交差していて、現在の電通博報堂ではないが、表では仲間じゃない顔をしているけれど、裏ではつながっている面があったり飲み友達だったりするようなことがある。

 池宮もまたいろいろなことをやっていたようだ。いまさら温故知新ではないが、現在の池宮中夫の父である。改めて書いたのは、たまたま池宮信夫のテクストと出くわすことが多かったためだ。

Red Brick Contemporary Dance File 2007
主催:ダンスカンパニーノマド・s

テキスト/美術/演出/振付:池宮中夫
振付:熊谷乃理子

”9PLANETS”(23min. 新作)
”The damp elements -横たわる湿潤-“ 

媒体にてレビュー

(横浜赤レンガ倉庫1号館・3Fホール)