第64回全国舞踊コンクール 現代舞踊1部 決戦、谷桃子

今年も現1が終わった。熾烈なドラマが繰り広げられたホールのロビーから窓越しに外を見ると噴水の水が横一列に並び春風と共にそよいでいる。日差しも気温も暖かい春の午後。ロビーは出演者、振付家、衣裳さんなど関係者があふれていて<現場>といえるような緊張感がある。この光景こそがこのシーズンであり、私にとって春の訪れと共に体験するかけがえのないその年の思い出の一頁であり新しい年度の舞踊界の流れを感じる一時なのだ。

第64回全国舞踊コンクール 現代舞踊1部 決戦

媒体にてレビュー

(目黒パーシモンホール 大ホール)


後に同じ都立大学前にある輸入家具店グラナダにあるギャラリー・グラナダに移動。なんでもこのお店をやっている人の家系は石井漠や崔承喜をサポートしたこともある関係者らしい。

バレリーナ 谷桃子の軌跡展

戦後を代表するバレリーナの1人、谷桃子の展覧会が行われている。バイオリンの岸谷真理や画家の猪熊源一郎、鈴木信太郎との逸話や画家たちによる衣裳、舞台プランが展示されている。
丁度、ギャラリーを訪れたとき、谷バレエ団のメンバーがいらして、展覧会で流されている映像の解説をしていただいた。心から感謝したい。今から30年ぐらいまえに谷桃子が引退をする前に撮影された「ジゼル」の映像を見せていただいた。谷はジゼルを踊り相手役のアルブレヒトを演じているのは故・江川明だ。振りも構成もその時代のもので現代のものとまた異なる。
また川端康成の小説「舞姫」(鴎外のものとことなる)の映画版(成瀬巳喜男監督)を解説付きで見せていただいた。オリジナルの小説を川端はオリガ・サファイアを取材しながら書いたことは結構知られている逸話だ。映画の中には旧・帝劇での舞台があるとのこと。この映画でデビューした岡田茉莉子は可愛らしい女性だ。ダンスシーンではショットを変えながら岡田と当時の谷バレエ団のダンサーたちの演技が同じ人物のようにモンタージュされているらしい。(俳優的な部分は岡田が出ていて、バレエダンサーならではの演技は当時の谷バレエ団のバレエダンサーたちが顔を出さないようにして演技をしているらしい。)当時の湘南・鎌倉の風景が出てきたり、当時良く用いられた日比谷公会堂をはじめとする劇場とその客席の雰囲気も良くわかる映画だった。内田道生、有馬五郎、小林恭もちょい役で出演している。映画最後で上演される「白鳥の湖」は客も登場する小牧バレエ団のスタイルだとのこと。その時代のバレエの記憶が映画に残されているようだ。

(ギャラリー・グラナダ

田中好道氏逝去

故人の冥福をお祈り申し上げます。偶然なのだが、小牧バレエ団から谷桃子が離れるときに、谷や有馬、小林たちと一緒に東京バレエ研究会を立ち上げ、そのリーダーになったのが田中だった。若き日には小牧で踊っていたようだ。後に舞台美術で活躍をし、特に外来のバレエ団が彼の仕事を見て関心していたのはその実力を示していたと評されている。