女流名家舞踊大会(1)・バレエ リュスの夕べ

東京新聞主催 第82回 女流名家舞踊大会(初日)
(スケジュールから夜の部の若柳東園、長唄助六」まで)

 初日は様々な作品が上演されたが、特に地唄舞の作品が印象的だった。神崎美峰「茶音頭」は茶にまつわる話と京の遊郭の日々を重ねて描く作品だ。当時の流行風俗が詞や踊りに織り込まれている。また吉村知加の「水鏡」では、女の恋する人への想いが水面に映った影と重ねながら綴られる。共に上方舞ならではの上品で感情の機敏を見事に描いた表現である。
 興味深い作品も多かった。花柳彩三郎・要三郎の義太夫「猩々」では酒を好物とする伝説上の妖精が登場する。二人は能のように赤い髪を振り乱しユーモラスに踊る。能の祝言能から創られた舞踊曲だけあり動きが大きい。長唄「連獅子」では花柳美紀豊・八輔が共に獅子の頭を片手に踊る。明治五年に村山座で花柳寿輔振付で上演された能の「石橋」に材を得た作品だ。能の抽象的な動きと日本舞踊の具象的な描写が入り混じるようなタッチの作品だ。創作長唄「阿亀降臨」は郡司正勝作詞の作品だ。江渡神楽にかかせない「おかめ」と「ひょっとこ」、日本神話のアマノウズメノミコトと猿田彦のやりとりを女の色気をいり混ぜながら滑稽に描いた。ややコンセプチャルな要素もある作品だが、唄にそって踊りわける作家の表情が味わい深く愉快だった。

(国立劇場大劇場)


NBAバレエ団 第12回自主公演復刻上演 「バレエ リュスの夕べ」

「ショピニアーナ」、「カーニバル」、「バラの精」、「ダッタンジンの踊り」

媒体にてレビュー

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