OpenSky2.0

「OpenSky2.0」

メディアアーティストの八谷和彦はこのところしばらく「乗物」というテーマと向かい合っている。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」のジェットエンジンで動くスケートボードをZKMで創ってみたり、「風の谷のナウシカ」の乗物メーヴェを人形で飛ばしてみたりといった一連の活動は話題を集めた。八谷はメディアアートに関心がない人にとってはポストペットの作者だといえば通じるだろう。その昔は「視聴覚入れ替えマシン」という2人の人間の視聴覚を入れ替えるといったとてもシンプルなVR作品を制作していた。
今回、作家は人形ではなく、本当に人を飛ばすためのメーヴェオープンソースで開発した。八谷によれば日本は個人が飛行機をつくれない国とのこと。そこで取り組んでみたのがこの作品だ。オープンソースで開発しているそうだ。ギャラリー中、デッサンや実際に人を飛ばすためのマシンが展示されている。アニメーションの世界の現実化という面では、ガンダム展やフィギュアに通じる持ち味も出ている。
実はダンスとも2つ接点がある。写真のモデルは珍しいきのこ舞踊団の山田郷美だ。また作家は実際の飛行のためにカポェイラでトレーニングをしたという。八谷の作品はコンセプト中心の作品が多い。作品のオリジナルのモチーフを作家の外部に得ているという面では強い創作性を感じさせないのだが、現実とビジョンの間でデザインをしているデザイナー的な試行錯誤のプロセスは20世紀的な発想だが興味深い結果だということが出来るだろう。

(NTTインターコミニュケーションセンター)

以下参考までに:
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2006/OpenSky/index.html
"Nausicaa in Valley of Wind” http://www.nausicaa.net/miyazaki/nausicaa/faq.html