伊藤道郎墓参

11月6日は伊藤道郎の命日だ。東京巣鴨の染井霊園に伊藤が眠る墓があるのだが、命日に墓参をしてきた。巣鴨駅から徒歩7分ぐらいの静寂な土地に世界的に名前を成したこの踊り手は眠っていた。岡倉天心二葉亭四迷高村光雲らの墓などもあるかなり有名な墓地だ。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%93%E4%BA%95%E9%9C%8A%E5%9C%92)。染井はソメイヨシノの名前の発祥地である。霊園には桜が多く植えられている。
伊藤の父親は明治文明開化の時代に開明的なクリスチャンだったと姪の故・古荘妙子先生は私に語ったことがある。幼いときに体験した礼拝堂の体験が伊藤にオペラ歌手を志願させたのではないかと古荘は述べた。そんなことから、伊藤が仏教のスタイルで埋葬されていることが私には驚きだった。同じ墓所には伊藤の家族、親族のアーティスト達も数多く眠っている。命日の数日前に誰かが墓参をしたのか、花がすでに活けられており、ある門下生の作家の公演のチラシが捧げられていた。今でも伊藤に習った直弟子は彼のことを慕っていることが多い。日本のみならず戦前、戦後と世界で活躍をしたこの踊り手の墓所は、礼拝堂ではないが、お堂の形の建築である。墓所に向けて手を合わせて戻ってきた。文筆家が作家の墓所を墓参することは多いが、伊藤に限らず多くの先輩たちの墓参をしておきたいものだ。

(染井霊園)