見捨てられた場所

しばらく連絡が取れていない旧友の一人は後に解放前のベルリンでラブパレードの原型となったパーティーをオルガナイズしていたメンバーの1人だった。クロイツベルク地区という最も面白い地区の話をしてくれたものだ。写真家の橋口譲二はこの頃のベルリンを撮影している。
そもそも解放前のベルリンは3国分離統治下にあり、そこに投資をする人はほとんどいなかったようだ。そこに資本主義というマジな社会で生きていけない人々が西欧諸国から流れ込み、社会主義というマジな社会でいきていけない人々が旧社会主義国家から流れ込んだ。その結果として、普通に開きビルをスクワッティングで勝手に占拠して住み着いたり、壁をぶち抜いて作品をつくったりすることが出来る環境があったようだ。人工衛星に電波を反射させて遠隔地のカメラ映像を受信していた話などもきいたことがある。
このクロイツベルグ地区に関しては、村上春樹がなんと短文を書いている。ヘルマン・ゲーリングの要塞がどうのというベルリン滞在記である。

台湾も政情が複雑な地域だが、そういった地域のテクノカルチャーやダンスカルチャーを追っているとかなり興味深い。メルボルンで学会発表をしたときには、あるスーパープログラマーが家に泊めてくれた。彼は日本アニメの大ファンで、もう何年も日本アニメの上映会を地元の映画館でやっている。香港映画の大ファンでもあり、私はメルボルンまで行って、地元のB級映画館に深夜に行き、コテコテのアクション・カンフームービーを見ることになったのである。その映画館にあつまっているのはメルボルン近郊のサブカルチャーのヘッドのような人たちで、いろいろ紹介されたが、どこかのプログラマークラブのリーダーとか、自由ラジオの関係者とかそんな人たちばかりだった。
粉川哲夫は「遊歩都市」というオーストラリア論を書いている。この中にサーカス・オズというサーカスが紹介されているのだが、このサーカスも見に行くことになり、なんと舞台にのせられ曲芸の手伝いをした。リーダーがカルト的なサーカスのスターだそうで、オリジナルな芸をいっぱい持っているのだ。今年の2月にBankartで見たHappy Slide Showもオージーな空気がいっぱいのCrazyなショーだった。ドラッグクィーンを扱った映画「プリシラ」の舞台もオーストラリアだ。
オーストラリアで思い出したのだが、白虎社もツアーをしている映像を見たことがある。若干現地にはまっている。白虎社の大須賀さんは復活するだの昨年噂が流れていたのだが実際にはどうなったのだろうか。