へいせいの田楽「平家女護島」をかぶく

第7回シアターX国際舞台芸術
演劇舞踊 へいせいの田楽「平家女護島」をかぶく

日本の芸能である田楽踊りと「平家女護島」にスポットを当てた作品。
平家物語でも有名な俊寛(若松美黄)と有王丸(ケイタケイ)が現れ舞台がはじまる。謀反で島流しになった島で繰り広げられる世界の一方で平清盛(エムザブロウ)が常盤御前(花柳面)との情愛に溺れている。常盤は清盛に愛されながらもその一方で源氏の再興を試みている。過去の物語が次第に現代の日本社会と重なり、2つの異なった時代がクロスオーヴァーをしていく。ありがちなベテランのコラボレーションによる創作作品という感触ではない大根を持って踊る田楽はケイタケイのポストモダンダンス、全体の流れはエムザブロウと若松美黄と、それぞれの持ちパートが見えるということが若干難があったのも事実だ。それぞれの表現であれば、その表現を引用する面白さや意味合いが見えてくるとさらに深みが見えてくるようにも思う。
踊りに豊かな味わいがあったのも事実で、特にケイタケイのとぼけた表情、ダンカン舞踊の佐藤道代の豊かな感情表現が心に残った。また花柳面はこの作品では現代舞踊の踊り手の様に自由に創作作品を踊っていた。さらにエムザブロウの現代演劇との合間を狙った演出が効果的だったといえる。若松は昨年冬に見たときよりみずみずしい演技で健在振りを見せていた。
物語と現代との接点がよりクリアになると作品と観客の間にリアリティを伝える一線が見えてくるということも出来る。

(9月9日 シアターX マチネ)