今月のダンサー:06年04月 橘ちあさん

yukihikoyoshida2006-04-24

今月のダンサー:橘ちあさん

 昨年秋に、『Яichal Dance Art Museum』の舞台を見た。(そのときの記事は吉田悠樹彦,「橘ちあ『Ritual 2005』」(音楽舞踊新聞,音楽新聞社 2005/11/21)参照のこと)新国立劇場バレエ団などで活躍をする実力派バレエダンサー達が参加をしている舞台は意欲的でとても好意的にとれるものだった。若手のバレエ作家の中にも興味深い才能は多い。橘はそんな才能の1人だ。現在、橘はイギリスから帰国し振付家として活躍をしている。現在、クラスでは即興について取り組んでいるという。イギリスでの日々と振付に対する考え方を質問してみた。

Q.公演を拝見して印象的だったのは橘さんと同世代の踊り手達が自由にコンテンポラリーダンスを模索しようという事でした。.なぜ表現者として振付家を選んだのでしょうか?

A.「踊り」、「動き」、という本質的、本能的言語が、表現手段として、私にはとても必要だったからだと思います。
また、同じように、ダンサーやパフォーマー達のそれぞれの(‘動き’という)言語
を見つけることで、そんな演者たちと、本質的、というか、最もシンプルなところでのコミュニケーションをとりたいと、そして、結果、観客とも同じコミュニケーションの流れが回る、そういう作品と空間を創り、発信していくことに、やっと意味と価値を見出すことができたからだと思います。


Q.公演ではイギリスの空気も若干感じられました。イギリスで得たもの、イギリスでの日々について伺ってみたく思います。

A.私がイギリスで得たものは、数え切れないほどたくさんあります。
その中でも、最も基本的なところでいうと、イギリスで受けた様々なレッスンや観た作品、また出会った先生、友人のダンサー達からの刺激からもそうですが、そんな中で、人が本当の意味で踊ったときの威力に敬服した時から、外側からのアプローチになりがちなダンスへの価値観が180度変わり、ダンサーと向き合う振付家の意味が自分の中でわかったことが一番の収穫でした。
イギリスでの日々は、正直、つらく、もがき苦しみ続けた毎日でした。
当時は、複雑に絡まったたくさんの糸で前がほとんど何も見えない中、それをほどこうと、ただただひたすら必死だったように思います。濃厚で、濃密で、とても疲れましたけれど、いろんな意味で革命的な、最高の4年間でした。

プロフィール:
橘 ちあ

上智大学文学部新聞学科卒業後、1998年 渡英。
ブレトンホールカレッジ、ロンドンコンテンポラリーダンススクール、ラバンセン
ター等で、コレオグラフィー(振付)、コンテンポラリーダンスを学ぶ。
帰国後、様々な国籍、ジャンルのダンサーらと、国内外で数々の作品を発表。
2005年、『Яichal Dance Art Museum』結成。
現在は、Angel Rバレエスタジオ( http://www.rei-dance.com/ )にて、
『Improvisation』の講師を勤める傍ら、バレエ、コンテンポラリーダンス、シア
ターダンス等、あらゆるスタイルを取り入れ、ジャンルの枠を越えた創作活動を行っ
ている。

http://blog.livedoor.jp/richal/
http://blog.m.livedoor.jp/richal/index.cgi (←携帯から)

Photo: (C) Chia Tachibana