小林紀子バレエ・シアター

小林紀子バレエ・シアター「コンチェルト、The Invitation、チェックメイト

ケネス・マクラミアンはある意味で日本人好みの作家ともいうことが出来るだろう。イギリスと日本の共通する国民性や風土も背景にあるといえるし、近代的な教養によるセンチメンタルな世界ということも出来るだろう。
「コンチェルト」はイギリス的な風景の中な随想ともいうべき作品だ。「The Invitation」 は英国のパブリックスクールの中の男女の情愛を描いた。最後は女性の情念と性の葛藤が描かれるなまなましい作品だ。戦前の帝国主義の記憶が残っている日本だから受けたということもあるかもしれない。「Checkmate」は戦前の作品だ。ヒトラーの台頭を予期したといわれる作品でもある。赤の女王を追い詰めていく黒の女王の生々しさが描かれる。このグループは日本のバレエ団としては水準は高い方である。

(7月15日)