今月のダンサー:12月 児玉麗奈さん

(C) 福田幸一

今月のダンサー:12月 児玉麗奈さん


児玉麗奈は実に演技力豊かな踊り手だ。バレエダンサーとしても、コンテンポラリーの踊り手としても高い技能を持っている。現在フリーだが、元NBA新国立劇場バレエ団の実力派だ。舞台に上がっても、ちょっとした仕草が目を引く、違いが解る踊り手だ。要チェック!


Abstract:
Rena Kodama (ex. NBA Ballet Company, New National Theater Ballet Company) is talented dancer. She danced with Toru Shimazaki and also performed at Dance
Hakushu by Min Tanaka. Recently she find her own way...

Q.ダンサーになった経緯をお聞かせください。

A.3歳より、近所のバレエ教室に、姉も習っているから、という理由でいやいや泣きながら通わされていたのがきっかけです。自由に踊ることは大好きだったのいですが、決まった動きをすることが嫌いで厳しい先生ということもあって、何度もやめたいと思い休みがちだったのですが、休むと先生から電話が。。。
でも小学6年の時にどうしてもやめる!!と言い張り、半年ぐらい踊らない時期が。
そのころ「レナちゃん。発表会があるからいらっしゃ〜い」という甘い誘惑に負けて、再び稽古場へ。。。
すると、私より後輩だった子がとっても上手になっていてショックを受け、それからですね。バレエ人生に火がついたのは。。
高校時代に最愛の父を亡くし、とてもバレエなんてできる状況じゃなくなり、先生に続けられなくなったと話に行くと、先生は「あなたはバレリーナにするために今まで育ててきたんです。お金はいいから続けなさい。」と言ってくださったのです。
そのときちょうど、コンクールに出場することになっていて、先生に鍵をお借りして、朝から晩まで練習。結果、本選でとても自分の力とは思えない、不思議な光が体を包み、軌跡的に全国2位に!父が守ってくれたんだ〜〜と、それ以来、あの不思議な光を感じるために踊ってきました。


Q.コンテンポラリーダンスに魅了されたきっかけは?

A.普通の社会でも柔軟に生きていって欲しいという母の願いもあり、日本女子体育短期大学に奨学生として入学。そこではバレエ以外にもモダンや、日舞、フラメンコ、リトミックetc..
他の分野のダンスに触れましたが、やはりクラシックバレエを愛していました。
NBAバレエ団に入団し、プリンシパルとして踊らせていただき、一方では新国立劇場の登録ソリストダンサーとして登録。ラッキーにも開場記念公演「眠れる森の美女」に、白い猫と、宝石で出演しました。
クラシックバレエ一筋で踊り続けている矢先、NBAバレエ団の一大イベント「ゴールデンバレエコースター」という世界各国から素晴らしいゲストダンサーを招いてのガラ公演に、なんでも好きなものを踊っていいという条件で踊らせていただけることに。。
しかし、そのころの私は自信もなく、なにを踊っていいのかわからない。
クラシックバレエのグラン・パ・ド・ドゥなど踊っても、他の素晴らしいダンサーたちに絶対にくわれてしまう。。
そのときのパートナー松本直樹さんが偶然、振付家の島崎徹さんと親しかったこともあり、お願いしてみることに。
すると徹さんは「レナちゃんをプロデュースするよ!」と言って、素敵な作品を創ってくださったのです。
それが始めてのコンテンポラリーダンスとの出会い。こんなに楽しいダンスがあったんだ〜〜と大好きになりました。

Q.NBAバレエ団からフリーになった経緯をお聞かせください。

A.NBAバレエ団では8年間、いつも軸となる役をいただき、踊らせていただいていました。
が、嬉しい反面、どんどん辛くなってきて、ロシア公演が決まったころ、体も心もピークを迎えていました。いままで、母や天国の父、そしてバレエの先生に恩返ししたい一心で休みなく踊り続けてきたのです。
沖縄の宮古島へ旅立ちました。
そして宮古島で自然のエネルギーに魅了され、「私は踊るために生まれてきたんだ!!」と涙が。。。
私が踊りたいのは今までのような踊りではなく、もっと自由に人々に愛のエネルギーを与えるために踊りたい!!
そしてロシア公演を最後に退団するに至りました。
すべていい経験です。

Q.フリーになってからはいかがでしたか?

まだ一度も、自分の力で海外に行ったことがなかったので、NY,カナダへ、自分探しの旅へ。。。
そのときに出会った、振付家、ロベール・ドロジエに気に入っていただき、一度帰国したにもかかわらず、公演があるから。。と再度来日。
拍手は温かく、舞台を終えた後も、お客様が「あなたは素晴らしかったわ!!」と抱きしめてくれたり、直にお客様と心が通じ合ったのを感じ、私はこういうところで踊りたい!!
と、帰国してからは、日本では踊りたくない!!と踊りをやめてしまおうかと思ったこともありました。
しかし、神様はそれを許してはくれませんでした。
お稽古場にも行きたくない時期もあり、家で一人でバーレッスンをしたこともありました。
「バレエを愛しているんだ〜〜〜」と泣きながら。。。。
バレエ以外の舞台、小澤征爾さんのオペラなどにも出演するようになに、ダンスにもいろんな形があるんだ!!と、世界を広げ、今では、結婚式やパーティーで誰かのために心を込めて踊るのが大好きです!!
そして、愛するダンスをみんなに教えることも。。。
ただ音楽を聴いて「何を感じる??」
そこからダンスは始まるんだと思います。
私はそうやって一生死ぬまで、誰かのために。。。自分のために。。。地球のために。。踊り続けていきたいです。
12月9日のコンサートは、そんな同じ心のミュージシャンたちとのコラボレーション☆
楽器ができない私は、体が楽器なのです。

Q.いつも舞台で表情豊かな演技が印象的ですが・・・

A.とにかく踊っているときは、「今、ここ現在」しかなく、どこか他の次元へいっているんですね!
ハートで感じたこと、それをそのままナチュラルに表面に出しているんです。
さいころから、感受性の強い子でした。

児玉麗奈(こだま れな)
プロフィール

1978年  久保幸子バレエ研究所にてバレエを始める。
1993年  埼玉全国コンクールにて第2位受賞。
1995年  NBAバレエ団入団。
同バレエ団にて、「くるみ割り人形」「白鳥の湖
カルミナ・ブラーナ」「時の踊り」などを踊り、プリマとして活躍。
世界のスターが競演する「ゴールデン・バレエ・コースター」では、
島崎徹振付「Winter Vision」「Together」「and you…」などを踊る。
1997年 新国立劇場ソリストダンサーとして契約。
      開場記念公演「眠れる森の美女」にサファイアの精、白い猫で出演。
2002年 NBAバレエ団、海外ロシア公演にて主役を踊り退団。
12月より、フリーとして活動開始。
2003年
7月、小澤征爾指揮の「こうもり」出演。
8月、田中泯主催「ダンス白州」では野外ステージで上田遥振付の
「エル・フラメンコ」を踊る。
10月、「ザ・ワイルドワンズ」とコラボレーション。
12月、 ニューヨーク、カナダにて研修。
2004年
3月、カナダ、トロントにてMENDELSSONHN CHOIRにRobert Desrosiers
振付作品でソロを踊る。
2005年
2月  野村一樹主催、「DEBUT」のツアーにゲスト出演。
3月  小澤征爾指揮オペラ「エレクトラ」に出演。
4月  渋谷に「Angel Rバレエスタジオ」オープン。
6月  パリのFete de la Musique(音楽祭)にフルートやピアノと
即興パフォーマンスを踊る。
7月  「FULL MOON PARTY」主催し、生バンドでの即興ダンスを踊る。
8月  福岡でのAngelダンスワークショップ開催

今後の公演情報と連絡先

12月9日 銀座王子ホール Pianin planクリスマスコンサート
2月28日・3月1・2日 東京文化会館 日本バレエ協会白鳥の湖
4月 オペラ「トスカ」
5月2・3日 駒場エミナース Angelバレエ 発表会

詳細はこちらから http://www.rena-k.jp/schedule.htm
アーティストHP: http://www.rena-k.jp/

写真: 福田幸一