TOKYO SCENE 2005 70年代的 9月18日

幸内未帆:(C)幸内雅行

TOKYO SCENE 2005 70年代的 9月18日

今年で最後!足を運ぶべし!
Atlier C.N.
エフィア 
海中を花びらが舞っていくように泳ぐ海の妖精エフィア

振付・演出 佐藤健
出演 佐藤健司、桜井陽子

甘い情景と記憶で胸いっぱいになる。Atlier C.N.を見たのはこれが初めてである。
形式やコンセプトに重きを置く作品がこのところ多い中で、審美的なロマンティック
な作品だ。少年のような風貌の佐藤健司と甘くロマンティックな空気を持つ桜井が
デュエットを踊る。男と女が出会い、そして惹かれあっていくというストーリーだが
審美的に詩的な情景に描いた。上演された空間がギャラリーということから若干効果
がで切らない箇所が気になった。
桜井の所々のバレエテクニックを活かした動きをサポートするように佐藤はコンタクト
を活かした濃密なSweetな世界を描く。作品の構造をさらに明確にしアイデアを集約
すると効果が出る作品でもある。

NR6
バースデイズ
今日これから、次の宇宙でわたしは生まれます。
振付・演出 幸内未帆
出演    石原義江、田村真樹子、森本真歩、山崎千津子

幸内未帆はスピーディーで伸びやかな動きを得意とする作家である。
本作はエネルギッシュに押すというよりは、多様なバックグラウンドを持った
踊り手たちによるポストモダン的なタッチの作品だ。
白いスペースに青い椅子がいくつか置かれている。体の利くダンサーといった踊り手
からパフォーマーのような踊り手まで様々な個性を持った踊り手が登場。70年代の
懐メロに合わせてそれぞれに動いたり、場面によってはユニゾンを見せる。
明るい現代的なタッチを持ったムーブメントは90年代以後対等したコンテンポラリー
ダンスといえる。情感豊かで動きのフォルムを活かした動きを演劇的な世界で見せる。
しかし珍しいきのこ舞踊団や発条トと異なり、ラフでワイルドさで売るというよりは
丁寧でしっくりくる動きを構成する作家だ。
日本に帰国し数年、活動を始めてたこの作家はより認知をされてほしい作家の
1人である。

斉藤淳子プロジェクト2005

You
遊、誘、悠、融、幽、有、夕、友、You
作 斉藤淳子 出演  斉藤淳子、近藤美保、奥野博 音楽 松本清

斉藤淳子はパフォーマンス的な作品で知られるベテランダンサーである。
斉藤と個性豊かな近藤美保、奥野博が舞台に現れる。松本清志のサウンド
が空間に流れると、相互に動きあったり、踊り手が四股を踏むようにポーズ
をとったり、手足を宙に投げ出すように床に倒れたりとそれぞれに動き
はじめる。この種の作品はその場の空気とコンセプトが重要である。
私が見た今回は若干空気が合わず効果が出ているとはかならずしも
いえなかった。この作品で用いられている技法は60年代に生み出され、
70年代も広く普及をしていった技法なので、技法そのものが70年代的
といえる。90年代のピチカートファイブの流行はゴダールゲンズブール
など70’sのリバイバルともいえる。
2005年の現代に於いてもサイケやレトロを舞台で見せる作家は多い。
ちょうどその頃に活躍をしていた作家の感覚が引用されるように現代
に展開をしていると考えることも可能だ。

(元麻布ギャラリー マチネ)
Photo: 幸内未帆:(C)幸内雅行