Internet2 and Dance

Internet2 Leni Basso(C)Yukihiko YO

Leni Basso+GroupMotion 「Rondo」

「日本発の試み」

おそらく日本で初めてのInternet2を使ったダンス・パフォーマンスに
関する実験が行われた。
上演されたのはアメリカのグループGroup MotionとLeni Bassoのコラボ
レーション作品である。フィラデルフィアで朝行ったリハーサルに対し
て日本と質疑応答を行った。
リハーサルであったがアメリカで上演された舞台と日本で見た中継された
映像の2つのバージョンがあるといえる。視覚的コンテンツのあり方として
も興味深い。今回、日本で見たのはこの中継バージョンだ。

「Rondo」とはダンス作品の製作をテーマにした作品だ。紙にペンでアイデア
書いては消し書いては消しという映像が流れ、1つの机を囲んで悩む踊り
手たちが登場。アメリカのダンサー達は舞台いっぱいに横に広がると
ヴィデオアートが正面から彼らに向かって投影される。その光のスリット
の中でダンサー達は動き始める。特にコンビネーションを活かした振り
付け構成やユニゾンが印象的で、ダンサーが作品に対して考えたり悩んだり
している姿が良く出ているといえる。踊り手の動きとヴィデオアートが
連動する作風は、欧米の作品的であり、2つのグループが共同作業をした
ということが伝わってくる。

北村のアメリカ人ダンサーに対する振り付けは日本人に対するそれと印象が
異なった。通訳の鈴木美歌里も指摘をしていたが、ローザスやバウシュ、
キリアン、フォーサイスといったヨーロッパのコンテンポラリーダンスに影響
を受けたと作家が多い日本のコンテンポラリーダンスの動きはアメリカよりは
ヨーロッパに近いといえる。アメリカ人のダンサーがそんな動きをするとモダン
ダンスの伝統が強く残っているアメリカ人の動きにいつもと少し異なる効果が
生まれてくる。日本人的なアメリカ人の動きと考えても興味深いし、そもそもの
振付家である北村の動きがヨーロッパ的だともいえるのだ。

この現象を日本もアメリカも欧米も一緒になってきたと考えるとすれば
グローバリゼーションではないが、それぞれの文化に差異が少なくなっ
てきているととらえる
ことが出来る。矢内原美邦も先月の「Bokuroll」のポストパフォーマンストーク
で指摘いたが、現在においては「日本もアジアもヨーロッパもアメリカも
どこにいっても同じような動き」というのが1つの潮流といえるかもしれ
ないし、多くの地域においてムーブメントがグローバルに均一になってきて
いると考える事が出来る。

中継を支えてくれたテクノロジーはさすがで現在で最速レベルのものであった。
片道0.5秒程度で往復1秒というほとんどラグがない状態である。
このスピードは衛星回線やテレビより速いという。
中継では多々にして映像が固まるが99.9%ラグはなく臨場感
溢れる中継は興味深かった。

国境を超えて世界がより高速にネットワーク化される現代社会に於いて
ダンスもまた均一になるのだろうか。現状では民族舞踊のような地域性の
強いコンテンツが各国で重視される一方でダンス表現も均一になってくる
様な現象は起きつつある。

プロジェクトWebpage
http://www.dance-streaming.jp/Internet2/index.html